うれしい大躍進!NCT WISH「Steady」のしなやかな祈りを捉える!MV考察/楽曲レヴュー

    9月24日、NCT WISHの1st Mini Album「Steady」が発売されました。
    これまでの日韓同時発売戦略とは違い、今回は現状、韓国でのみの発売。
    にもかかわらず、予約枚数は80万枚を超え、前作の韓国語盤売り上げから約30万枚伸ばす大躍進!

    しかも蓋をあけてみれば、めっっちゃ曲が、良いですやん。
    ということで、すでに円盤予約済み、だけどまだ届いていないわたしもこの熱い思いをこの記事にしたためてみました。

    目次

    断言。2024年はKENZIEの年である。

    本作のプロデューサー兼作詞・作曲・編曲に名を連ねるのはaespa「Supernova」の渾身の大ヒットも記憶に新しいKENZIE……(様付けしたくなる偉業・大感謝)

    ここで特に言及したいのは彼女の単独名義で書かれた美しい歌詞です。
    わたしが感動したのは公式のMVで流れてくる和訳の歌詞なので、少しだけ凄さのニュアンスとか、ハングルとしての美しさなどは理解しきれていないのですが、和訳だけでもこの歌詞が捉えたものの美しさには気づけました!

    まずサビで語られる「君への恋慕」の言葉。
    (YouTubeの和訳をもとにところどころ言葉をわかりやすいように変えて書いてみました。)

    君は美しい 青あおとした眼差し
    その優しい話し方 このまま変わらないで
    熱い風の中 細胞は 君を感じてしまった

    どんな相手かわかるような特徴も書いていないのに、夢中であることをこれほど青春の匂いを漂わせながら描写することができるなんて。
    サビのたびにこの歌詞が表示されるので、眩しすぎてぐにゃあってなりました。心が。

    二番のこのときめきの描写も素敵です。

    ひとりでふらっと旅に出たり
    人生初のマイカーを買ったり
    世の中のどんな贈りものも
    君との出会いほどときめくのか

    等身大の少年性が現れている歌詞ですよね。
    まだ見ぬ世界は果てしなく多いけれど、知ってる世界と言葉の限りを尽くした一生懸命な言葉選びがすてき。

    その思いは恋慕を超えて、まるで祈りのような純粋さでわたしたちを照らします。
    いまの世の中は本当にどうしようもない状況ですが、NCT WISHと冠された彼らが、本当に一筋の希望のように純粋さを表現してくれるというのは、ありがたいことだなと思います。助かる。

    それにしてもKENZIEヌナ、いえ、KENZIE様、絶好調すぎやしませんか。
    本当にありがとうございます。

    NCT WISH IN THE UK

    KENZIEとともにプロデューサー、作曲編曲に名を連ねるのはShift K3Y(シフトキー)。
    2011年にデビューしたイギリスのDJ/ミュージシャンです。

    代表曲である2014年発売の「Touch」も直球のUKガラージで、「Steady」へのつながりを予感させます。いままさに世界でも韓国でも日本でも2stepやハウスの再流行を経てしばらくしたあと、という状況ですが、そのリバイバルも元はここらへんのヒットから続いているんでしょうね。ダフト・パンクから続くディスコファンクのリバイバルも本当に長いですし、意外と音楽の流行ってゆっくりと移ろうものなのだな、と感じたりもします。

    ちなみにKENZIEと彼以外のco-writeクリエイターを見てみると……

    Karen Ann Poole(作曲)
    イギリスを拠点に活動。K-POP仕事はNCT Uの「Make A Wish」やEXOの「Trouble」、TWICEの「Baby Blue Love」など。驚くべきはカイリー・ミノーグの「Wow」、ジョルジオ・モロダー「Right Here, Right Now」!わたしめっちゃ好きです。
    ちなみに前述したShift K3Yの「Touch」にもクレジットされています。

    Georgia Ku(作曲)
    こちらもイギリスのミュージシャン。Zedd、Rita Ora、LOONAの楽曲に参加されています。

    Lewis Jankel(作曲)
    Shift K3Yの本名。

    no2zcat(編曲)
    韓国のアーティスト。SM仕事多数です。

    ということで、この曲は実質イギリスと韓国の作家による共同制作というかたちになっています。がっつり本場の風が吹くUKガラージということで、今後その事実もしっかり味わって聴いていきたいですね。

    Photobook ver.予約してるんですけどまだ届いていないので、Apple Musicでクレジット確認しました。こうやって気軽にクレジットが見られるよい時代。

    アルバムに目を向けてみると(UKの章で言うのもなんですが)、出色なのは2010年代のUSインディー・ロックのようなミニマムでぽこぽこしたサウンドの「Skate」だと思います。
    作曲のco-writeに明記されているSTELLA JANGさんも気になりました。
    良い音楽。

    はい、好き

    もう10回泣きましたけど……MVに新たな名作誕生!

    NCTの象徴とも言える黄緑色の、その芝生のような若くパワフルなエネルギーが詰め込まれた素敵なミュージックビデオ。
    学校を舞台に撮影していますが、教室のシーンも屋上のシーンもどこか箱庭のように狭く、密やかなムードを漂わせています。

    わたしの受け取ったストーリー

    学園で噂の幽霊が、学生の肝試しによって解放。
    しかし幽霊の存在に気づいたのはそれとは無関係なある少年(サクヤ)。
    サクヤは幽霊に恋をし、愛情を与えようとする。
    幽霊はそれを受け入れ、そしてサクヤと仲の良い他の5人とも行動を共にする。
    友情、愛情を深め合うなかで、流星群の訪れのニュースを知る。
    別れの予感のなかで、6人は幽霊のためにダンスを踊る。(友情の証?)

    流星群の夜、6人に見送られて幽霊は星となり昇天していく。
    6人は幽霊と過ごした月日のことをいつまでも覚えている。
    そしてあの星もいつまでもそこに在り続ける。

    NCT WISHの柱のコンセプトはキューピッドです。
    キューピッドといえば、射抜かれれば恋に落ちる矢。そしてその矢で自分が射抜いてしまうという神話ですね。
    WISHのなかで明確にその”射抜かれる”ポジションにいるのはサクヤですね。

    思えばデビュー曲でも。

    日本語版のMVとは展開が違います。

    サクヤの持つ、なにか底知れないオーラがこの演出を成功させていると思います。

    そして何より、この曲の最大のハイライトである「転調」
    そこに昇天のアニメーションを持ってきて、そのストーリーの余韻で大サビを包んでしまう、というのはよくできているというか、できすぎているというか。

    聴くたびに初めてみたときの高揚が蘇ってきて、毎回泣きそうになります。
    これは本当に胸を打たれる演出だと思います。ストーリー的にはややありふれているので、「ケッ」となってしまうひともいるはずですが、わたしは、泣いちゃったね……ワッて、ちいかわになってしまいました。

    ちなみに「てんびん座β星」はみどり色にひかると言われているようです。
    WICHU、関係あるのだろうか。

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