ねぇきいて?EXO「Let Me In」は1年経ってもやっぱりベテラン・アイドルの大正解……である以上に人類の宝!

    みなさんこんばんは。春ですね。
    先日ベッキョンのソロ・コンサートを一緒に観た友人とお茶しているときに、「やっぱりLet Me Inって良い曲でしたよね」という話になりました。

    わたしももちろん頷き、同意したわけですが、今年も季節はもう春。昨年ファン・ミーティングで披露されてから、もう1年以上経ったことになるのですね。時が流れるのはとても早い。

    そしてこの曲、おそらくこれから一般のメディアでたくさん掘り下げられることは少ないだろうな、という予感があります。ですから、今回はそんな「Let Me In」の良さを個人的にもう一度語りたいと思います。

    ちなみにギョンスのペンミ、わたくし全落ちです…………✴︎
    励ましの気持ちで最後まで読んでいただけたら幸いです。切実……。

    目次

    静かに深く 叙情的なR&Bバラード

    夢幻的なサウンドと節制された感情を表現したボーカルが調和したバラード曲。

    https://exo-jp.net/news/detail.php?id=1108929

    EXOの公式サイトでこの曲はこのように表現されております。
    完全にペンミの演出、MVのシナリオに印象を操作されていますが、わたしはこの曲を聴くと鯨を思い出します。暗い海の底で遠くにいる誰かに届けば良いな、と投げかける歌。

    楽曲を通じて静けさが色濃く、角のとれたビート音が淡々と鳴り続けます。
    K-POP界の栄光を勝ち取り、世間からの評価も、人気も、もはや疑うものはいないはずのEXOですが、この寂しさはなんでしょう。悲しい歌ではないはずなのに、悲しい場面ではなかったはずなのに、虚無感や停滞感のようなものまで感じられてしまいます。結果として、この曲を出したあとにEXOのメンバー数人は所属していた事務所SMエンターテイメントを抜けることになるので、それまでに彼らが受けた傷や逆境がなんとなくこのムードを形成していたのかも、と思うようになりました。

    同時に浮かび上がるのはR&Bサウンドの包容力。
    EXOのヴォーカルに宿る温もり。

    歌詞を読むと、この曲はEXOのメンバーから他のメンバーへ、あるいはEXOのメンバーからファンに向けて贈られていると感じられます。寂しくもあり、やさしさを感じられる内容でもあるわけですね。

    この曲には、ベテラン・アイドルならではの円熟味が詰め込まれているのです。
    他にそういった楽曲をあげるとするならばBIG BANGの「LOSER」やSHINeeの「View」、TWICEの「Feel Special」、Red Velvetの「Feel My Rhythm」などもそうだと思います。一瞬のきらめきだけでなく、スターならではの傷も愛情もこもった複雑な美しさ。

    MVを見てみると、かつての一緒に過ごした瞬間を愛おしむような演出にいまだに胸が締め付けられます。
    事務所がわかれてもEXOは続いています。現在入隊中のカイとセフンが戻ってきたら、またみんなで穏やかな気持ちで、この曲を歌ってほしいです。

    SMマルチプロダクションの傾向から読み解く

    この曲をはじめて聴いたとき、全員歌めちゃくちゃうまくなったな、と感じたものですが、最近少し見方が変わったので憶測も込みでその話をさせてください。間違ってたらすみません。

    この曲から感じる「全員歌うま感」の正体は、イ・スマン退社後のSMエンターテイメントの制作体制「SM 3.0」マルチ制作レーベルの影響があるのかもしれない、といまのわたしは考えます。

    SM 3.0発表後に形成されたというマルチ制作プロダクション組分け

    ONE PRODUCTION BoA、少女時代、aespa
    PRISM PRODUCTION SHINee、WayV、ルーカスなど
    RED PRODUCTION 東方神起、Red Velvet
    NEO PRODUCTION NCT、NCT 127、NCT DREAM、NCT WISH
    WIZARD PRODUCUTION KANGTA、SUPER JUNIOR、EXO、RIIZE

    WIZARD PRODUCTION所属グループを改めて見ると、抜群の歌唱力メンバーを保持しつつも、割と均等に歌割りも見せ場も振り分けられ、集団としての華をアピールしている傾向があるように感じます。

    この曲でもメイン・ヴォーカルであるジョンデ、ベッキョン、ギョンスの澄みわたるハイトーンが映えていますが、往年の楽曲のような「THE 歌唱力」という雰囲気はありません。あくまでリラックスしたムードで、温度感も抑制されている印象を受けます。まぁ正直それにしても歌がうますぎるというのもありますが……。笑

    制作サイドの得意な音域や見せ方が、ソロ活動を経てみんな成長したEXOの表現の方向性と合致したかたちかなと思います。そりゃあメボがうますぎるっていうのは楽しいですけど、全員で表現のバランスをとる今回のかたちは結構すてきだなと思うのです。

    事務所がわかれましたが、今後の音楽制作はどうなるのでしょうか?
    今後はEXOがRIIZEの「Impossible」のような曲を歌うこともあるのでしょうか。気になりますね。

    ソロ活動の成果を持ち寄るベテラングルの理想形

    兵役による各メンバーの活動休止を経て、久しぶりに8人でのカムバックとなった本作。
    この楽曲含むアルバム・リリースのタイミングでカイ、さらには冬にセフンも入隊することになったため、2024年の今年は8人でのパフォーマンスを見ることはできません。

    たった一瞬だけ、8人が揃った奇跡のなかで、各々がソロ活動で掴んだものを持ち寄ってできた作品がこの「Let Me In」です。

    音数少なく、低音ベースのサウンドで歌わせたら抜群の表現力を持つギョンス。

    同じくこういうムードで歌ってこそ誰よりも輝くチャニョル。

    崩すラップで楽曲に説得力を与えてくれるセフン。(SC感……!)

    吐息混じりの歌声で柔らかさ、人肌感をもたらしてくれるカイ。

    ストーリーテラー、裏主人公のような存在感を放つシウミン。

    圧巻の高音で幻想性を極めるジョンデ。

    今回ジョンデと双璧をなすパートをこなし誰よりも進化を見せつけたスホ。

    いくらでも歌で目立てるのに今回他のメンバーとの調和を保つ、いや、EXOを包むように歌うベッキョン。

    ソロ、ユニット活動の経験が、EXOに還元されたことがどのパートからも伝わってきます。主旋律、コーラス、フェイク、どのパートを追っても心が揺さぶられるのです。

    しかも、どのタイミングで聴いても、意識が持っていかれる曲なんですよね「Let Me In」って。

    リラックス感によって、生活にもよく馴染むので、スキップして他の曲聴きたいなと思う瞬間がありません。昔より、貪欲に何かを求めることが少なくなってきたいまのわたしには、こういう曲が一番フィットする感じがあります。

    キャリアによって形成された複雑なムード、メンバー全員でつなぐ穏やかなパートリレー、いぶし銀のスキル、芳醇な音色。この曲の良いところを挙げたらきりがありませんね。

    EXOの他にもいろんなアイドルを推していますが、若い子たちもいつかこういう曲を歌ってくれるかも、と思うとワクワクします。そして、EXOがこういう曲をリード曲としてリリースしてくれた事実が、いまも嬉しいです。

    これからも長く聴いていきたい楽曲です。

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