「ハウス・ミュージックっておしゃれやん?」という感覚はいまの時代まで続いているのだろうか?という疑問。K-POP中心に考えてみる。

    思い返すと、かつてハウス・ミュージックにおしゃれなイメージを抱いていた記憶があります。
    ただしそれは10代のころまでの話、少し大人な音楽だと感じつつも、わたしが10代後半の頃になると、中田ヤスタカのヒットなどにより大衆化したこのジャンルは、陳腐なコンピレーションの大量販売(このブログで昔書いたヴィレヴァンで売っていたような)などで幾度目かの消費・摩耗されてしまうのでした。

    そして2024年末現在、世界規模でも、K-POPのなかでもそして邦楽のなかでもいまだ根強いハウス・ミュージック人気を実感しつつも、果たして最近の若い子たちは「ハウスっておしゃれやん?」と感じているのか?とふと疑問に思いました。
    だってわたし自身、その感覚を忘れてしまっている瞬間があるのですから。
    そしてその思考の果てに、まぁ若い方々がどう感じているのか聞き回るのはやめて、わたしがかつて強く抱いていた「ハウスっておしゃれ!」の感覚の行き先を、見つめ直そうと思ったのです。

    目次

    ハウスっておしゃれ!ホワイ?

    実際のところ、ハウス・ミュージックとは”おしゃれ”なものに位置することに間違いはないと思われます。

    ハウス・ミュージックはボール・カルチャーから派生したジャンルゆえに、クィア文化と関係が強いファッション分野ともイメージの結びつきが根強いもの。
    ハウスの名曲は数えきれないほどありますが、ファッショナブルで華美なイメージを我々に強く示したものといえば、マドンナの「ヴォーグ」ですね。
    完全後追いのわたしとしては、30前後クィアのバイブルでもある「プラダを着た悪魔」のOSTが「ヴォーグ」デビューでした。

    ハウスの持つファッション性、そしてボール・カルチャーに付属する性欲の香りにより何年も愛され続けているハウス。もちろんカルチャーは一筋縄ではいかないものではあります、ダサいものだと扱われる時代もありましたが、昨年以降はビヨンセやアリアナ・グランデといった米国のトップDIVAがボール・カルチャーを再び眼差し、上記したファッション性と性欲の香りを身に纏いながら、過去の歴史に敬意を示したことは、ハウスの地位向上に作用したはずです。

    K-POP最強の正統派はSHINee「View」とf(x)「4 Walls」

    そしてK-POPの歴史を振り返ったときに「おしゃれなハウス・ミュージック」として最強の正統派に君臨するのは伝説の2015年SM作品の二大巨頭SHINee「View」とf(x)「4 Walls」でしょう。

    どちらもレジェンドなのでもはや語ることもないのですが……というかこれまで挙げたもの全部、当たり前すぎるんですが、改めて取り上げさせてください。

    両曲に共通するもので特筆すべきは、LDN Noise、そしてミン・ヒジンでしょうね。

    SHINeeの「View」に関しては、のちにメンバーのキーがイントロを評して「アパレル店で流れるBGMのような……」というふうなことを言っておりました。
    正直今回の記事はその発言ありきで書いています。ファッションと強烈に結びついたジャンル。おしゃれな気分をかきたてるようなジャンル、それを歌とダンスと表情をびしっと見せつけるのが王道だったK-POPアイドルがやる!
    その新鮮さ、きっと当時を見ていた方々からするとものすごい衝撃だったのだろうと想像せずにはいられません。だからこそ、今でも愛され、評価されている楽曲なのだと思いますし。

    f(x)の「4 Walls」はとにかく幻想的で美しいMVが用意されました。
    ミン・ヒジンの作り上げる「ブランド・イメージ映像」のような質感がハウスの持つファッション性に結びついた良い効果だと感じます。
    MVではあまり感じませんが、振り付けやステージ衣装はかなりボール・カルチャーに寄ったものがあてられていて、それはそれで相当おしゃれなんですよね。前後のK-POPのものと比べても異質なものがあるな、と思います。そのあたりは、彼女のセンスやこだわりを思えばミン・ヒジンじゃなくて他のクリエイターや専門のディレクターの功績のような気もします。

    aespa「Whiplash」が拡張するもの

    そしてK-POP×ハウス・ミュージックで今年を代表する曲は、aespaの「Whiplash」でしょう。もう誰も異論はないですよね。MV公開以降、テック・ハウスの風合いで、重み、異形さ、色欲、キャンプさ、ファッション性、クィア性、そのあまりにも高水準な表現力に慄きました。aespaという4人の若者を通して、ハウスが本来持つエグ味を拡張して打ち出してくるなんて、勝ち気がすごすぎると思ったんです。

    とくに大きなステージでのパフォーマンスの拡張力、その迫力。恐ろしい。正直グループとしての格がこの年末で次のステージに行ってしまったと思います。
    上記した要素がダイナミックでゴージャスに昇華されています。aespaというグループの持つ無機質で強者すぎる雰囲気のおかげで、色欲が薄れに薄れてアイドルとしてのバランスが保たれているのも奇跡的。

    わたしとしては、この高みに登る最初のグループはWJSNだと思っていたので少しの悔しさはありますが、「UNNATURAL」と「Easy」で見せたクィア狙い撃ちの輝きは未来永劫語り継いでいく覚悟です。

    ここまで長々と書いてきましたけど「ハウスっておしゃれやん?」という感覚と「Whiplash」、そしてちょろっと書いたWJSNの楽曲から感じるおしゃれ、は少し違う気もしますね。でも、おしゃれって何種類もあんねん、だから複雑やねん、という感じでしょうか。もう、これがおしゃれやねんって言ってもいいですか?

    まぁ、そのおしゃれさ→アパレルのおしゃれさ→ランウェイ感→ボール・カルチャーというように、連想ゲームでいままでのK-POPに根付く、ハウスのおしゃれ感、ボール・カルチャーのおしゃれ感、そのありがたみはぼんやりと実感していたような気がしてきました。おしゃれってなんや?ゲシュタルト崩壊してきました。

    とりあえず言いたいのは、その「おしゃれ感」を楽しんだら、K-POPってもっと楽しくなるよな!!!!!!!!!!!!ってことです。でした!ゲシュタルト崩壊してわけわかんなくなってきたので無理矢理終わります!

    ↓おまけ
    K-POPのコレオグラファーにボール・カルチャーリスペクトを感じる大好きな振り付け

    TWICE「Feel Special」

    EXO「DON’T FIGHT THE FEELING」(ハウスですらないやんけ)

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    目次