この光は届くか?宇多田ヒカル「SCIENCE FICTION TOUR 2024」レポ/セトリ

    宇多田ヒカルの2024年のコンサート「SCIENCE FICTION TOUR 2024」を見てきました。わたしが参加したのはマリンメッセ福岡の2日目。全日程を通しても2公演目のものとなります。

    まずセトリを掲載し、印象的だったことや楽曲について書いていこうと思います。

    目次

    セトリ(ネタバレ注意)

    1.time will tell
    2.Letters
    3.Wait & See ~リスク~
    4.In My Room
    5.光
    6.For You
    7.Distance(m-flo remix)
    8.traveling
    9.First Love
    10.Beautiful World
    11.COLORS
    12.ぼくはくま
    13.Keep Tryin’
    14.Kiss & Cry
    15.誰かの願いが叶うころ
    16.BADモード
    17.あなた
    18.花束を君に
    19.何色でもない花
    20.One Last Kiss
    21.君に夢中
    EN
    シンセベースの機材トラブル?により急遽MC追加(博多祝い唄)
    22.Electricity
    23.Automatic

    選曲によせて

    「time will tell」からはじまり、「Automatic」で終わるという25周年にふさわしいセットリスト。
    驚くのはツアー・タイトル同名のベスト・アルバム「SCIENCE FICTION」に選出されていなかったシングル曲が複数セットリスト入りしていたことです。

    ベスト的にはほぼ焦点の当たっていないアルバム「DISTANCE」期からも「Wait & See〜リスク〜」「For You」を。逆にベスト入りしている「Addicted To You」「Can You Keep A Secret?」を披露せず、まさかの「DISTANCE -m-flo remix-」。クラブ・ミュージック愛好家からとくに愛されるリミックスが歌われました。

    宇多田さん、この曲のこと覚えてらっしゃったのですか。

    「GOLD〜また逢う日まで〜」で再びm-floにremix依頼されたこともきっかけにある選出だとは思いますが、新宿2丁目での宇多田ナイトによく出かけていらっしゃる宇多田スタッフさんたちの影響もあるのかな、などと考えました。「GOLD」もやってほしかったな……。

    基本的に大ヒット曲しかない彼女なのでどのように選曲しても結局のところ最高なのですが、「あなた」「誰かの願いが叶うころ」「何色でもない花」の選出は、いままさに世界的に戦争・争いが起こっている状況におけるアートのあり方というか、決して無関係ではない、悲しみと覚悟を思わせる”生の匂い”を感じました。

    戦争や平和に対して、決して主導者側に立ったり他人事になったりせずに、自分の言葉で自分の日常の範囲で想いを巡らせる宇多田ヒカルに改めて感動するとともに、信頼を強くしました!

    業界トップレベルの照明演出(エレクトロ・ミュージックのベクトルにて)

    月面を模したセット。(わたくし先日ギョンス主演の映画「THE MOON」を観てきたばっかりだったので興奮しました)

    無数の照明(たしかレーザーはなく、すべて照明だったと思います)と複数のLEDヴィジョンという、シンプルですが確かに金のかかりまくったステージ演出です。
    近年のエレクトロ傾倒とあいまって、ビョークやシガー・ロスのような迫力と深みを感じられましたよね。
    「ぼくはくま」のときも間奏のためだけに2人のスタッフがシンセをステージに搬入にして、また曲中にばらすということをやっていて、すごいなと思いました。笑

    アリーナ・ツアーということで客席との距離も近く、なおかつ携帯で撮影することも可能なので、観客との距離も近め。目があったな、とか、指さしてくれたな、とか、そういう勘違いも許されるような空間です。笑

    ファンの腕にまかれたライト・ブレスレット(有料)も、きっと彼女の瞳にも美しく映ったはずだと思います。
    マリンメッセ福岡公演では、現地のお祭り(山笠)と日程が被ったこともあり、機材トラブルの合間に祝い唄を歌ってくれる一幕もありました。

    わたしは初めて宇多田ヒカルのコンサートに行きましたが、「このひとってちゃんと生きているんだな」と、当たり前ですがそういう実感が湧いてきて楽しかったです。たくさん話しかけてくれましたよね。
    ところどころに出る素朴さも、それを吹き飛ばすカリスマ性も、どちらも圧倒されました。観に行ってよかった!

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