笠原桃奈は次の舞台へ!ME:Iのリーダー兼初代センターMOMONAの強み (前編)

    人気オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」(通称 日プ女子)を経て結成されたME:I。番組に寄せられた関心を引き継ぎ、4月17日のデビューを控えるなか、毎日のようにテレビ出演、雑誌の表紙に登場している彼女たち。そして本日12日には早くも代々木第一体育館でのファン・ミーティングを成功させています。

    今回はそんなME:Iのなかでも「あの”香水”でヒットした瑛人と親戚」、「黒髪ウェーブの女の子」など度々話題を集める初代センター兼リーダーであるMOMONAこと笠原桃奈のつよさについて書いていきます。

    目次

    大器晩成を体現したハロプロエリート

    桃奈が一躍有名となったのは2016年のハロプロ研修生の公開実力診断テストでした。
    公開実力診断テストといえば、毎年ゴールデンウィークに行われる観客投票型のハロプロのデビュー登竜門イベント。様々な部門が用意されていますが、受賞者のほとんどがデビューを掴みとり、現在でも多くの受賞者たちがいまでもハロプロの根幹を支えています。

    なかでも桃奈が受賞したのは最上位賞の「ベストパフォーマンス賞」
    (BEYOOOOONDSの清野桃々姫と同率受賞)

    弱冠12歳とは思えないしっとりとしたムードで観客の心を鷲づかみ。
    この「ベストパフォーマンス賞」を受賞したことで夏にはアンジュルムへの加入が決定。

    デビューできないメンバーも多いハロプロ研修生のなかで、彼女は12歳にして最高の評価とデビューを掴み取りました。実際のところは常に劣等感を抱きながら研修生として活動してきた彼女でしたが、天運が彼女をステージに向かわせ続けます。
    裏側で見せる不安や、自覚するいたらなさとはうらはらに、彼女は常に”選ばれしもの”として芸能人生を歩んでいます。

    アンジュルムはテレビ出演もあまりなく完全に世間に知られているアイドル・グループではありませんでしたが、毎年のように日本武道館での単独公演を行っており、桃奈在籍時にもオリコンシングル週間チャートで1位を獲得していることもあって、日本国内のアイドル比では安定した人気を得続けていたグループだと断言できます。

    ただ、実力派アイドルにベクトルが向かうなかでの年若い桃奈のポジションや、その後もエース格のメンバーが加入しがちだったアンジュルム内での目立ち方などのせいで、ハロヲタと言われるひとのなかでも、特別アンジュルムのファンというわけでなければ、彼女の良さに全員が気づけていたとは言えません。もちろんアンジュルムのファンであれば、彼女がパワーを常に身に余らせていたこと、成長するにつれて膨大な好奇心で世の中を見つめるようになっていたこと、それが輝く場所が当時のハロプロには用意できていなかったことを知っていると思います。

    結果としてその秘めたポテンシャルは後に日プ女子やME:Iで発揮されることとなるのですが、桃奈がアンジュルムにいた時間は決して無駄ではなかったとわたしは思うのです。

    愛のグループ “アンジュルム”で人格形成

    桃奈が12歳でデビューすると、アンジュルムのメンバーはマンネ(兄弟姉妹の一番下のこと)である彼女のことを大層かわいがりました。仲良くできるようにお出かけイベントを自主的に開催したり、楽屋でふざけたり、そんな微笑ましいエピソードが現在でもインターネットの海のなかに大量に残されています。

    なかでも彼女に気をかけていたのは、当時のリーダー和田彩花さんです。
    和田さんはアンジュルムの前身スマイレージの初期メンバー。アイドル戦国時代のはちゃめちゃな時代に心身をすり減らした彼女は、アンジュルムに改名し、後輩たちの加入が増えたあたりから、「アイドル」という仕事の問題であったり、メンタルケアであったり、ジェンダーやフェミニズムへの関心を強く抱くようになりました。

    すべては自分のこころを守るため、後輩たちを守るため。

    アンジュルムのファンが大好きなエピソードがあります。

    それは、桃奈がメイクに興味を示し、当時のトレンドだった鮮やかな赤いリップを塗ったときのこと。
    一部のファンから「もっとナチュラルなメイクのほうが」というようなアドバイスを受けて反省の意を記した桃奈に対して、和田さんは「好きな色のリップを塗りなさい」と伝えました。さらにライヴのMCでもそのことに言及し、ファンへの理解を求めました。

    このエピソードは決して和田さんがファンへの嫌悪感から起こしたアクション的なものではありません。
    彼女は常に自分の考えを、自分の言葉で伝えようと努めていました。
    桃奈とファンのあいだでギクシャクしないように、どちらも無駄に傷つかないように言葉を紡いでいました。毎年考えをアップデートしながら、ときにファンに大きな感謝を伝え、年上の男性が多い現場でも互いが理解できるよう言葉連ね、ときに強く意見を示しながらアイドルとして成長していった和田さんは、アンジュルムの後輩たち、そしてファン、さらにわたしとしても、尊敬できる方でした。
    桃奈はよく日プでスピーチを褒められていましたが、わたしはそんな桃奈に和田さんの意思が根付いているのを感じました。
    実際、日プ女子のファンブックで、ロールモデルに和田さんの名前を挙げていましたね。

    和田さんの他にも、メンバーと話しているときには竹内朱莉さん、ふざけているときには室田瑞希さん、他のメンバーを見守っているときには勝田里奈さん……と、桃奈の一挙手一投足にかつてのアンジュルムのメンバーの姿が重なります。

    もちろんいまでは一人前の桃奈。
    こういう見方は、立派すぎる人物へと成長した彼女には失礼かもしれませんが、ファンとしては、アンジュルムで過ごした日々が彼女を作り出してるんだなと嬉しく思う瞬間が多いです。
    彼女がまっすぐな気持ちでアンジュルムに向き合っていたことがわかりますし、実際そういう言葉を多く残しているので、アンジュルムのファンで、日プ女子に彼女が参加したこと、結果として多くの票を集めてデビューできたことに疑念を抱くひとはいないでしょう。

    無限のポテンシャル すべてが上向いた卒コン「桃源郷」

    アンジュルムとして思春期のほぼすべてを過ごしてきた桃奈は、キャリアを重ねるに連れてどんどんカルチャーへの好奇心を高めていきました。レギュラーラジオでリスナーへおすすめの楽曲を尋ねたりしていましたし、蒼井優と菊池亜希子の共同編集による「アンジュルムック」というファンブックでもRed Velvetキース・ジャレットが好きだと掲載されました。その他にも舞台、映画、小説と彼女はどんどん好きなものを増やし、人間としてどんどん成長していく姿をわたしたちに見せてくれました。

    彼女がアンジュルムでとくに仲が良かったのは上國料萌衣さん(誕生日が2日違いということで”ふたご”という設定で毎年共同誕生日イベントを行っていたため、上國料さんと木村カエラさんが同じ誕生日だと発覚したときに桃奈は”ふたごですね”と言っていたそうです)、川村文乃さん、船木結さん。

    船木結さんは桃奈のひとり前のアンジュルム卒業生です。
    彼女の卒業コンサートは、カントリー・ガールズのファンでもあったわたしが桃奈への見方を一気に変えた公演でした。
    船木さんの卒コン「起承転結」はコロナ禍でのひさしぶりの単独公演、有観客ではあるが歓声不可ということで独特の空気が漂っていました。冒頭からみんな涙が止まらず、観客としても心が痛むようなパフォーマンスが続くなか(円盤ではそういう見せ方はされていません)、桃奈が涙を堪え、しゃんとした姿で全体のクオリティーを立て直したのです。そのあとは、見事最高のコンサートで船木さんの旅立ちを祝うことができました。

    後輩が入ってもいつまでもマンネのような感覚があったわたしですが、それをきっかけに彼女が立派すぎるほどの人物に成長しているという確信を抱きました。
    それ以降、アンジュルムのなかでも良いパートをもらうことも多く、エース格の先輩たちが卒業していけばきっと前に立つ人物になると期待を膨らませていましたが、結果としては2021年でハロプロ、アンジュルムからの卒業が決定。

    卒業コンサートは2021年の11月15日、日本武道館で行われました。

    この「桃源郷」は、コロナ禍で満足にライヴ活動できなかったアンジュルムが密かに蓄積してきたエネルギーを炸裂させた最高の公演。

    真っ赤なコート衣装、選抜メンバーによるダンスに全力を尽くしたパフォーマンス、ドレスではなくスーツスタイルでのソロ歌唱。桃奈がやりたかったものが詰め込まれた最高の晴れ舞台。



    多くの観客がこう考えたと思います。
    「自分たちは、アップフロントは、桃奈の本当のポテンシャルに気づいていなかった」

    「地球は今日も愛を育む」というまさかの選曲、それを歌いこなす意外性、そしてサプライズ、「大器晩成」のCメロ担当(歴代歌唱力自慢の推されメンバーしか歌いません)。
    間違いなく、ハロプロ時代の桃奈のピークがこの公演で、彼女が真ん中に立ったときの全体の物語性も、彼女が軸として動いたときの楽曲のエネルギーも、すべてが想像以上でした。

    その後は、韓国へのダンス留学などを経て日プへと物語は続きますが、アンジュルムとしても、この「桃源郷」を機にますますパフォーマンスが磨かれて良いグループへと成長しました。

    竹内朱莉さんや佐々木莉佳子さんの卒コンは武道館ではなく横浜アリーナ。桃奈とは関わりのない新メンバーも増えて、いまではかつてのアンジュルムとは大きく様変わりしています。ですが、グループとして一段あがるきっかけとなったのは、桃奈の卒コンで在籍メンバー含め、大きく意識が変わったからだとわたしは考えます。外でがんばる桃奈に負けないように、誇れる自分たちであるように努力して輝き続ける、そんないまのアンジュルムも、そしてME:Iも本当に素敵なグループです。

    さて、今回は桃奈のつよさの原点であるアンジュルム時代について長く書いてきました。
    日プ女子以降の彼女のつよさについて語った後編もぜひ読んでいただけたら幸いです。
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