いきなり大丈夫ですか?
ですがこのネタ、以前のブログでもずっと書こうと思っていたネタでして、(IVEレイやNewJeansヘインがつけていた)ベヨネッタ眼鏡の流行を経てなんとなく構想がうまくまとまりそう……と最近思っていたところ、色々あってやめたほうが良いかな?とも思ったのですが、まぁミン・ヒジンのクリエイティヴには信用はあるし、良いか。と思ったので掲載することにしました。やさしい眼差しで眺めていただければ幸いです。
オマージュ上等 ただしセンスは一流に限る
Tommy february6/Tommy heavenly6はthe brilliant green(通称ブリグリ)のヴォーカル川瀬智子のオルター・エゴ的なソロ・プロジェクト。と思いきやTommy f/hどちらも全曲ブリグリのベーシスト奥田俊作が手がけており、元ギタリストの松井亮もファースト・アルバムには参加していたため、ブリグリの別プロジェクトでもあります。
90年代後半、ブリグリがUK的オルタナ・ロックで人気を博した一方で、Tommy february6の音楽性はもろ80年代のシンセ・ポップのオマージュ。レトロ感やきらきらと気だるさの共存といい、川瀬自身の演技までセルフ・プロデュースの行き届いた”アイドル”的なプロジェクトでした。
彼女が当時オリコン1位を獲得するくらい人気になったのは、やっぱりそれが洒落ていたからでしょう。
K-POPあるあるなチアリーダー・コンセプト。
Tommyがやったのは2001年のことです。80年代の映画、CMのオマージュ満載のこのMVは当時の斜に構えるのがかっこいい感覚と組み合わさり、かなりシュールな仕上がり。いまのようにおしゃれ一直線ではありません。でもこの小物選び、センスがないと無理!
川瀬智子の京都のセレクト・ショップでのアルバイト経験が活きているかどうかは定かではありませんが、こんな風にかつて彼女が愛したであろうカルチャーの”オマージュのコラージュ”的な作品は、それがあからさまであればあるほど素敵だと思います。
K-POP界隈のクリエイターのなかでもミン・ヒジンにも近い感覚があると思いますが、あまり好きな作品を公言してくれないので、もっと堂々と言ってくれたらカルチャーの継承が行われるのにな〜と考えていたところでした。
Tommy february6も実際はもろ80年代のカイリー・ミノーグ(とその周辺のヒットソング)ですが、良いじゃん愛があれば!
まぁカイリーの場合、あの方自身が常に”いまが最強”すぎてかつての輝きに縋ろうとする気がないところも大きいと思いますが……。
ちなみにTommy heavenly6のほうはステイシー・オリ……アヴリル・ラヴィーン的なパンク、ロック・サウンドです。
ファンシーなキャラクターものと共存してみせる
パワーパフガールズ、リトルツインスターズ、ピカチュウ、ブライス、たらこキューピーなど、ファンシーなキャラクターを愛していた彼女。
ファッションとして身につけたり、雑誌で紹介したりにおさまらず、タイアップ作を掴み取ったり、MVに直接登場したりもしていました。
パワーパフガールズとのコラボといえば昨年のNewJeans、サンリオとの大型コラボといえばNCT、ピカチュウといえばEXOレイなど、近年では韓国中国のスターと日本のキャラクターとのコラボが目立ちますが、00年代初頭にそれを「おしゃれでしょ?」と言わんばかりに表現に組み込んでいたのがこのお方です。冷静に考えれば考えるほどかっこいいっすTommyさん。
日本屈指のタイアップ強者
Tommy febuary6
「Bloomin’!」資生堂ピエヌCMソング
「MaGic in youR Eyes」ドラマ「奥様は魔女」主題歌
「L・O・V・E・L・Y〜夢見るLOVELY BOY〜」ポケモン映画「烈空の訪問者デオキシス」主題歌
「Lonely in Gorgeous」アニメ「Paradise Kiss」OPテーマ
Tommy heavenly6
「Wait till I can dream」バラエティー「Matthew’s Best Hit TV」EDテーマ
「Hey my friend」映画「下妻物語」主題歌
「LCDD」映画「サマータイムマシンブルース」主題歌
パッとあげるだけでもこれだけの味わい深いタイアップとともに活動しています。
なかでも米倉涼子主演の「奥様は魔女」はレトロなかわいらしさを追求する彼女でしかあり得ないタイアップ。「Paradise Kiss」も当時人気絶頂だった矢沢あいの原作アニメです。パラキスはファッション雑誌「Zipper」に連載されていた作品で、矢沢作品のなかでもとびきりおしゃれな雰囲気がありました。「下妻物語」も深田恭子と土屋アンナのW主演映画で、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTというロリータファッションブランドをフィーチャーしたカルチャー観の強い作品。
そうです。当時のメジャーなおしゃれ感はほとんどこのひとの独占市場だったのです。
言い過ぎかも……いや、そうだったよね。
いまのK-POPを見ていると、ファッションブランドとコラボしてフィジカルはかわいくてアート・ワークはおしゃれで、MVに金かかってて、TWICEもRed VelvetもNewJeansも(その他いろいろ)うらやまし〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜と思った時期も、正直、ありました。
でも日本にもこんな風におしゃれに突き進んで、金をかけてコンセプトを練る時代があったのです。
なんとなく未来に進むにつれ薄れそうな認識だったと思うので、ブログを書いてみました。
サブスクに音源たくさんあります、YouTubeにもMVあがってます。
「銀魂」「機動戦士ガンダム00」「ソウルイーター」「バクマン。」など大人気だったアニメの主題歌もたくさんやってました。セーラームーンのトリビュートも最高でした。
なので、かつて好きだったみなさんも、興味なかったみなさんも、全く知らずに育ったみなさんも、ぜひ聴いてみてください!
ukkaへの楽曲提供以降あんまり仕事してくださらないのですが、きっと今の時代もっと支持を集めるはず……また歌ってください川瀬智子さん!