11月6日にセカンド・ミニ・アルバム「HAUTE COUTURE」をリリースするMISAMO。
本作を引っ提げての日本ドーム・ツアー(ベルーナドームと京セラドーム)も決定しています。
そして今回の目玉となる楽曲はそう、安室奈美恵の名曲「NEW LOOK」のカバー。
2008年にリリースされた安室奈美恵の34thシングル「60s 70s 80s」から、”60s”を担った楽曲が「NEW LOOK」でした。うむ。懐かしい。
のだけれど、引退してしばらくしてからYouTubeの動画も、サブスク配信も全部なくなってしまった現在。安室奈美恵の素晴らしさも懐かしさも、もう簡単には伝えられないじゃない!!!!!!!!!!ということで今回、記事を書いてみなさんとこの想いを共有したいと考えております。よろしくお願いします。
ところで……
「16 YEARS AGO」
ふーん……え、「NEW LOOKって16年前なの……?」って傷付きました。普通に!!!
ファッション・アイコン長期政権
日本のアイドル、アーティストはもちろん、BoAやSHINee KEYといったK-POP界の大御所からも愛されている存在 安室奈美恵。日プ女子でもNHK五輪のテーマ曲「Hero」が課題曲に採用されたことからも、現在においてもかなりの影響力があることがわかります。
引退時にはその長い年月を総括するプロジェクトが多数発表されました。
しかし、音楽が好きな三十路以上で彼女をずっと見てきたひとたちは違和感を覚えたはずなのです。そして当時を知る私たちこそが、その部分の伝道師にならなければならないのです。(伝道師……?ザワ……)
安室奈美恵には確かに、CD売り上げや人気が低迷し、TVメディアの輝かしい部分から離れた時期があったということ。そしてその時期こそが、安室奈美恵の一番の味だということを。
このCMでいうと、2000年代「Say the Word」ヴィジュアルのあたりですね。
CDバブルが弾けたこと、音楽性が変わっていったこと、新しいカリスマの台頭、いろいろな要因が重なり、安室ちゃんのCD売り上げは下降線をたどりました。
2002年にはシングルの売り上げが10万枚を切り、2003年にはさらに半減、
アルバムの売り上げもかつては300万枚を売るトップ・アーティストだったものの、2003年リリースのアルバム「STYLE」は22万枚でした。
でも実際この「STYLE」が一番かっこいいんだよゥッッッ!!!!!!!!
という想いは一旦置いておいて、安室ちゃんのすごかったところは、そのセールス低迷期でもファッション・アイコンとしての価値を全く落とさなかったことです。
ファッション雑誌に定期的に掲載されていましたし、徐々に音楽番組の出演が減っていた「shine more」から「ALARM」の頃も、マンダム『ルシードL プリズムマジックヘアカラー』のCMで、TVで本当にめちゃくちゃ流れてました。
SUITE CHICでの活動やダラス・オースティンからの楽曲提供など、音楽性がどんどんおしゃれになっていったこともありますが、彼女のファッション・アイコンとしての存在感がこの時期を輝かせます。
そして2004年「GIRL TALK/the SPEED STAR」での再評価、セールス復活が本当にかっこよかった。音楽性にこだわり、おしゃれにこだわった彼女が、まさにそのこだわりの部分で新たに一時代を築いたのですね。
いつもならここで「GIRL TALK」のMVを貼りたいところですが”ない”ので、もし若い方がみていらっしゃったらご自分で検索してみてくださいね……。
揺るがぬ彼女のスタイル
安室奈美恵の音楽性は大まかに時代とともにトランス〜R&B〜Hip-Hop〜エレクトロ〜EDMと移り変わっていきます。そのなかには小室哲哉やダラス・オースティンなど、時代の覇者にプロデュースされた時代、SUITE CHICという日本のR&B、Hip-Hopの界隈の著名人とチームを組んだ時代、コラボに熱心だった時代、Zeddなど海外のアーティストと組んだ時代など色々含まれますが、小室の過去のインタビューからもわかるように、彼女は常に良い音楽、その時々のかっこいい音楽を模索し続けていたのです。
そしていまも支持を集めるダンス、への強いモチベーション。
歌、ダンス、音楽性、これをすべて高次元で極めた日本のアーティスト、それこそ安室奈美恵であり、彼女こそが頂点だと多くのひとが考えると思います。
ていうか本当、SUITE CHICのアルバムも名盤だから!サブスクで数曲聴けるから!
立つ鳥跡を濁さず、も極めすぎて後世に伝えることが困難すぎる問題もありますが、それでもやっぱり言いたいんです。
小室哲哉と離れて、本格的なR&B/Hip-Hopを志向して、その分野でまた再評価された「GIRL TALK」。
そのあとも音楽性とファッション性にこだわった楽曲を発表し続け、アルバムもシングルもセールスも安定して上向いたあと、満を持して用意されたプロジェクト、そしてリリースされたシングルこそが「60s 70s 80s」なのです。
時代とトレンドを乗りこなすコンセプト三種同時の凄み
「60s 70s 80s」は2008年3月12日にリリースされたシングル。
「GIRL TALK」の勢いのままセールスを復調させたアルバム「Queen of Hip-Pop」に続き、アルバム「PLAY」もヒットし、他アジア圏でも高く評価されたあとの作品がこれ。
P&G「プレミアム ヴィダルサスーン」とコラボし、”リメイク”をテーマ(なんかその言葉選びをおしゃれを託されてる感じがするわ〜)に各年代に通ずる要素を取り込んだ楽曲を3曲同時に発表しました。
・ただでさえ当時流れまくっていたヴィダルサスーンのCM。
・それがさらに大量に流れる。
・そして完全に浜崎あゆみ、倖田來未へと継承されていたクイーンの王冠を再び手繰り寄せた安室奈美恵の強烈なオーラ。
・米国の音楽をサンプリングした楽曲の新鮮なかっこよさ。
・金がかかりまくっているのが映像から見てとれるMVがCMで流れてくる。
これを一気にテレビから浴びまくったので、当時高校生だった私も「なんかしらんけど、今回の安室ちゃんめっちゃすごい……」と興奮しました。
そして実際、The Supremesの「Baby Love」をサンプリングし、T.Kura、michicoによる盤石プロデュースでレトロでファッショナブルに仕上げた「NEW LOOK」、アレサ・フランクリンの楽曲をぱきぱきとダンサブルなリズムでJ-POPナイズした「ROCK STEADY」、映画フラッシュダンスのテーマを大沢伸一プロデュース、michicoの最高な歌詞で洒脱にリメイクした「WHAT A FEELING」はどれも、当時の邦楽界のなかで一際輝きを放つ会心の作だったのです。
いま思い出しても当時テレビでヴィダルサスーンのこのCMが流れてきたときの高揚感、すごかったな……
結果、このシングルは他のシングルから3倍近く伸ばした30万枚のセールスを記録。
当時の日本はすでにCDが売れてない時代(年間1位の嵐ですら60万枚)、数々のジャニーズアイドルに囲まれながらも年間18位にランクイン。
3曲を収録したベスト・アルバム「BEST FICTION」も155万枚以上売り上げる大ヒット。(年間2位)「BEST FICTION TOUR」の模様を収めたライブDVDも当時の女性アーティストの映像作品の売り上げ記録を更新する大ヒットとなりました。
なんやこのセールスは……圧倒的すぎる−…………
16年前の安室奈美恵は本当に第二の全盛期。
それを迎えられたのも、彼女の数々の挑戦のおかげです。
……ということで挑戦によって世界的な成功を掴んだTWICEのMISAMOがカバーすることは素直に、嬉しいですね。
でも実際、MISAMOがやるなら「WHAT A FEELING」やろがい??という疑念を最後に記し、この記事締めます。ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました!
「BEST FICTION TOUR」のセトリは素晴らしいのにDVDのカメラワークが酷すぎて、当時Amazonのレビュー大荒れ、知り合いの姐さん方大発狂という状況がとっても面白く、いまだに強く記憶に残っています。