パラキス&NANA人気絶頂による「下弦の月」再販&映画化
いまでも覚えていますがわたしがはじめて「NANA」の単行本を手にしたのは、地元のセブンイレブンの棚にあった12巻です。幼いころ矢沢あい作品を全く読んでいないガンガン読者だったわたしがいきなりそれを手にしたのは、紛れもなくその時代の”矢沢あいブーム”にのかった、ただそれだけのこと。当時中学生だったわたしのミーハー心を最大限にくすぐったのがそのタイミング。2005年3月15日のことです。
余談ですがその巻は、いきなり未来の話から始まり、誰と誰が付き合うか、子供を産むか、消えるか、などが本当にもう全て描かれます。わたしはそのあと、バスケ部の女子から単行本を全部借りて前の話を読むことになるのですが、まぁ驚くほど全部知ってました。もしあの頃に戻れるなら、その巻から読み始めるのはやめろと言いたい。
余談でした。アニメ「ご近所物語」はガキ時代のわたしが見るにはお姉さんすぎて見ていない。それでもわたしには「NANA」の前に矢沢あいデビューするきっかけがありました。……みなさん「下弦の月」という漫画をご存知ですか。
「ご近所物語」と「NANA」の間に「りぼん」で連載されたミステリアスな作品です。
小花美穂でいう「水の館」みたいな感じです(ちがうよ)
この漫画が、実は「NANA」の映画放映前に映画化されています。
栗山千明、成宮寛貴、HYDEの出演作で、2004年9月25日公開。
わたしは当時L’Arc〜en〜Cielの大ファンで、WHAT’s IN?というソニーマガジン発刊の音楽雑誌でこの映画の報を見たとき大喜びしして、「下弦の月」の特装版も地元(のブックオフみたいなところで偶然大安売りしていたため)で購入しました。
この映画、本当に、おもしろくない……のですが、HYDEのソロ活動初期のMV監督が制作した作品なのでHYDEさんは本当にかっこよかったです。
話がそれましたが、当時の「NANA」ブームは、田舎の男子中学生にも届くほど。さらに合わせて作者の過去作まで実写化されるほどの熱狂っぷりでした。
(映画に合わせて2年前に作られたソロ・アルバム1作目の収録曲にタイアップがつき、MVまで制作され、アルバムの英語版まで新たにリリースされました↓)
謎のトリビュート・アルバム 大々的に発売
NANAブームのなかでもとくに印象的なのが2005年3月16日にリリースされた「LOVE for NANA〜Only 1 Tribute〜」の存在です。「NANA」12巻と発売日1日違い。一緒に売ろうとする気まんまんでした。
自分がトラネスにいたなら、ブラストにいたなら……という設定で作られたトリビュート・アルバムなのですが、これがなかなかの珍盤。avexからも大塚愛やDo As Infinityが参加していて、しかも大塚愛の「Cherish」はトラネス、というか浜崎あゆみフォロワーとしての闇堕ちロックの名曲なのがいまだに面白い。脂がのりまくっていた彼女は、どこで本気を出すかを本能的に察していたように思います。
大塚愛の楽曲を除けばそこまで良い曲もないし、基本的に書き下ろしというよりも既発曲やカップリングの寄せ集めなのですが、高見沢俊彦は書き下ろし、セックス・ピストルズのメンバーや、当時売り出し中だったカナダの歌手スカイ・スウィートナムの楽曲も収録されていて変なところでガチ感を醸し出しています。
そして木村カエラ「Twinkle」は本作の十数日後のリリース作、彼女の躍進のきっかけとなった「リルラリルハ」(3月20日リリース)にもカップリングとして収録されていたり、大塚愛の醸し出す空気がのちの「東京フレンズ」に通じているような都会感も感じさせたり、当時のアーティストたちの売り出し方、イメージを鮮明に思い出させる内容となっているのでみなさん、改めてチェックしてみてください。
この頃のカエラさんってソニーのこういう雑な企画盤に必ずといっていいほどいるんですが、本流の良質なプロダクトの割に基本的に選曲とかよくねぇなって感じじゃなかったですか?

矢沢あい周りってめっちゃソニーやわ
トリビュート・アルバムの話でうっすら匂わせてましたが、いま振り返ると当時の矢沢あい作品のメディア・ミックスに熱心だったのは他でもありません。ソニー・ミュージックです。
だってさァ!!!!!!!そもそもさァ!!!!!!!!!!!!
中島美嘉もソニーじゃん!!!!!!!!!!!!!!!
「NANA」のアニメ主題歌(土屋アンナとOLIVIA)はavexですが、「下弦の月」はhydeだし(当時はソニー)、「NANA」映画はもちろんソニーだし、パラキスアニメはTommy february6でソニーだし、パラキス映画もYUIでソニー。当時のソニーがガンダムSEEDきっかけでメディアミックスに全力を注ぐ中でも、とくに矢沢あい作品へのメイン級アーティストを注ぎ込んでいたのは疑いようがないですね。振り返ってみて、それをまざまざと確認できたのはよかったです(そうかな?)それにしては「NANA」の製作委員会にソニーがなさそうなのは意外ですが。
余談ですが、ソニー、そしてhydeさんが絡みまくってる矢沢あい作品メディアミックスですが、のちにラルクのTETSUYAのソロシングル「lonely girl」(2010年11月10日)の作詞を手掛けていて、意外にも作者の印象は悪くなかったんだな、となりました。グラスカの歌詞をみたことのあるみなさんは察すると思いますが、この曲の歌詞も当時ひっで〜と思いましたね。
本当に余談やん。
