Skyline/YOUNG POSSE
今年のYOUNG POSSEの存在感には目を見張るものがあった。「YOUNG POSSE UP」「XXL」「ATE THAT」「Street Carol…」どの楽曲にもユーモアがあり、かつ聴き続けることが可能な中身の充実に圧倒された。彼女たちの作品の特徴といえば、直球の90s〜00sトレンドのリバイバル。他のグループはあの時代のものを”おしゃれ”に昇華し、今様な音色とミックスさせてきた。しかしYOUNG POSSEの音楽には「ダサいものをダサいまま残す」という意地のようなものを感じる。そこがユーモアに繋がってくるのだが、この曲に関しては比較的真面目な作風に仕上がっている。清涼感のあるドラムンベースのなかで、浮遊感を漂わせる。今年のイージー・リスニングの名曲のなかに紛れても視線を集める曲だと思っている。正直ランキング的にはこれを選ぶのは面白くないけれど、それでも彼女たちのなかで異質、という点で見逃せない楽曲であることは間違いない。
Dandelion/JAEHYUN
実際のところ今年一番聴いた曲は「Compeletly」である。あの曲の持つ幽玄さ、唯一無二である。しかしこの曲を15選に選んだのは、ジェヒョンがこのソロ作品リリースした直後に兵役に行ってしまったから。このアルバムを持って、彼は自身が才能あるヴォーカリストでありパフォーマーであることを証明した。NCT内の天才、テヨン、マーク、ドヨン、テン、さらに他の天才的に尖ったスキルを持つメンバーたちと比べると、ジェヒョンは比較的器用さがなめらかだと感じるときもあった。(そしてそれを補ってあまりあるほどの華がある)しかし、活動の中でも成長し、ファースト・アルバム「J」で至った光景にはひとりの天才的なアイドルとしての矜持、バックアップする会社の鼻息の荒い手応えが感じられた。そのなかで、この曲には「ジェヒョンの不完全さ」が見え隠れしていた。入隊後、彼の姿を見られないなかで、その不完全な彼から滲み出る穏やかさが、どれほど身に沁みていることか。この穏やかさを持って、彼の除隊を心待ちにしているこの頃である。
(リリース当時に書いたブログ:こころを何に例えよう?初のソロ・アルバムで見るジェヒョンの表情 – J The 1st Album)
Yes or No (feat. HUH YUNJIN, Crush)/GroovyRoom
LE SSERAFIMのユンジンとホ・ユンジンをフィーチャリングに迎えたBrown Eyed Girlsの楽曲「Love」をサンプリングした2ステップ。「Love」は2008年の空気が漂うアコースティック混じりの四つ打ちなので、だいぶ気だるい印象に変更された。そんな気だるさ、ノスタルジックさ、もどかしさを表現するユンジンのヴォーカル、聴けば聴くほど凄みを感じる。
わたしはルセラよりもむしろユンジンのソロのファンで、このコラボで彼女の強さを理解してくれる友人が増えたことが今年嬉しかったことである。ユンジンがソロでも活動できていることがHYBE唯一の良心であるかもしれない。
Tell Me Now/STAYC
日本シングルのカップリングとして収録されたエレクトロ・ファンク。往年の日本HIP-HOPのムードを感じさせるラップのバースに興奮、本当に良い曲。日本シングルのカップリングという、ファンにしか聴かれないような場所で収まるレベルの楽曲ではない。
本作のA面は「GPT」の日本語曲、個人的に「GPT」も相当好きで、それなのになぜこんな良い曲を揃えてこんな雑なアートワークなのだろう?と疑問。メイン曲の成績が振るわなかったフル・アルバムも収録曲は名曲だらけ。「GPT」の韓国配信版のカップリング「Meant To Be」も大好きで、今年は実はSTAYCは良い曲しか出していない。それなのにリリースの爪が甘いというか、本人たちと楽曲は素晴らしいのに、色々歯がゆいなと思ってしまう一年だった。でも本当に、曲は最高。
Whiplash/aespa
成績の「Supernova」、パフォーマンスの「Whiplash」で2024年のK-POPを完全制圧してしまったaespa。個人的に嬉しかったのは今年の彼女たちの作品がキャリアのなかで最もリスナーを踊らせようとしていたこと。デビュー年の作品の完全置いてけぼり感もいまはほぼ感じず(KWANGYA!)、今年はテクノを主軸にポップスを極めんとしていた。圧を感じるヴィジュアルだからこそ、キャンプな演出も交え、コンサート・パフォーマンスではボール・カルチャーからの引用で場を掌握。隙がありそうなところも隙がない。
とくに「Whiplash」なんか、街歩きの際のBGMとしても有効ですよね。日常に馴染むaespa、そうなったら誰も勝てない。