ギョンス前
ギョンスに会うために関東に向かった。
あわよくばベイスターズの試合を見ようと思って関内あたりのホテルを予約していたが、フォロイーさんとの都合がつかず、結局試合を見ることはなかった。
その日のベイスターズはひどい負け方をした。
というか、宿泊していた間圧勝したのが1回だけで、その日以外は試合速報をすぐに閉じて友人に向き合った。ベイスターズが負けても不機嫌にならずに済むことが嬉しい。
執筆している今日はオースティンがサヨナラHRを打って勝った。
推しチームが勝つのはいつだって嬉しい。いつか勝ち試合を観に行きたい。勝て。
初日は横浜駅の周りで大半を過ごした。
はじめてまともに構内を歩いたのだが、横浜駅は本当に広い。
九州にいたら駅でこんなに迷わない。こんなに複雑な駅はひとつとしてない。
初めて東京に行った日をいつまでも覚えている。東京駅で迷った。路線図が読めなかった。新宿駅の東口から西口に向かうことができなかった。あれは大学生のとき。TimeleszがまだSexy Zoneだった。氷結のCMがPerfumeだった。
いまでは迷ってはいてもスマートフォンを見てどこにでも行ける。
それに、昔とは違って最初から最後まで友人といられるように予定を組める。
初日にあったのはNCTとゲームをきっかけにお話するようになった緋々さんと、もう十年ほど繋がり続けているハロヲタのもりくん。
どこにでも行けると上述しておきながら、待ち合わせの時点で結構迷った。
横浜駅ジョイナス、お前、広すぎるぜ。
緋々さんとは、何気ない話をした。荷物が多過ぎてお土産を持って行けないので、そちらもお気になさらずと事前に言っていたことから、これまでもらったソンムル(韓国語でプレゼント)の話をした。K-POPファン界隈のソンムル文化は興味深い。他の界隈では体験したことがないくらい互いにちょっとしたプレゼントを贈り合う。なんとなく豊かな気がして好きなのだが、自分が贈ったりもらったりするのは大変なので横でにこにこその様子を眺めていたい。
結局緋々さんには「宇多田ヒカルのチケットが高すぎる」という話、「ギョンスに会うのが楽しみだがチケット代が高すぎる」という話をした……あとに即ポケモンセンターに向かい、無駄遣いをする様子をさらけ出してしまった。こんな大人になってはいけない。
小さいお子に混ざってポケモンfitのコーナーでああでもないこうでもないと迷いまくったあと、バイバニラを手にとった。
なんとなくぬいぐるみと一緒に旅先を回ることに憧れていた。
ベイスターズのB☆
お別れしたあと、もりくんと合流。「中華料理屋さんにほぼ行ったことがない」という話から、中華料理屋に連れて行っていただく。(うちの地元では、世間の中華料理屋の代替でラーメン屋さんがたくさんあるのだ)
飯屋ではビールと餃子をかきこみ、笠原桃奈と加藤心の絆がいかに泣かせるかという話を熱弁した。この話を東京で何度もした。いや、ここは横浜なのだけれど。
その後カラオケで散々歌ったあと、激酔いして駅に帰っていると、たくさんの若者とたくさんのゴミが視界にぶわっと広がった。もうお酒を飲むようになった世代とも年の差を感じるようになったことに驚く。そして少しだけ恐怖を感じるが、あちらからしたこんなにガタイがよくて色が黒い長身の男に喧嘩をうろうとは思わないだろうと思いながら、馴染みのない道を通り、馴染みのない電車に乗る。
ギョンス後
ギョンスに会って世界がすっかり変わってしまい、夏の暑さをうわまわる勢いで足取りはうわついていた。
その勢いでmudaくんと合流。mudaくんとは一緒にZINEを出した仲で、そのあともたびたび電話で話を聞いてもらっている。
いたずらとして、カフェのカウンターで作業をしていたmudaくんをガラスの外から何も言わずガン見してみた。どこでもそういうことばかりしている。
その日は川崎に宿泊した。なにやら祭りが行われていて、道中浮かれたひとたちと大勢すれ違う。俺も負けず劣らず、浮ついているぜ。
大衆居酒屋に行き、有線がモーニング娘。の「泣いちゃうかも」、浜崎あゆみの「Voyage」、BoAの「Shine We Are!」などが流れており、その度に大騒ぎしてしまった。居酒屋を出た後に色々あってカツ丼を絶対に食べないといけないということで、和幸に向かう。初めて行くチェーン店である。おそらく九州にはない。わこうと読む。帰り道、明らかに未成年がセブンイレブンの前でたむろしており、北九州に住んでいたとき以来の光景を目にする。ゴミが散乱していてギャルと少年の出会いの場となっている。深夜であるぞ。
その後ホテルの温泉で、疲れまくって沈黙しているおじさんたちに囲まれて湯に浸かるがmudaさんがギャルルの話題を切り出してきた。私もハロヲタのはしくれとしてギャルルにはうるさいので持論を展開する。しかし基本的に相手を振り回し続けているわたしが、なぜかそのときだけは周囲に異常な気配りを見せ、「おじさんたち多分ギャルルの話聞きたくないと思う」と言って、夜景を眺めてその日を終えた。カツ丼で腹はパンパンだった。その日増えた体重はいまだに減っていない。
ギョンス後々
次の日は五反田に宿泊することになっていて、mudaくんと川崎から移動する。川崎から五反田は意外に近い。そのころになると、俺は自分が横浜と川崎と東京の位置関係を完全に逆で覚えていたことを理解する。地理むず。
五反田といえばモーニング娘。の「Help me!!!」でしか馴染みのない場所だったが、実際降り立つと異常にLUUPとの遭遇率が高い町だったので、早過ぎて怖っと何度も思った。
そしてその日、電車のなかでたくさんの世界のひとを見たり、公園にはホームレスのひとがいる横でおばさんがのんびりしていたり、障害を持つ方が手すりを持って歩いていたり、東京は色んなひとが生きているなと何度も思った。
宿に荷物を預けてmudaくんと共に目黒へ向かう。
まるたさんと水っぽい星さんと何かをして過ごそうということになっていたが、私が東京で特別何もやりたいことがなく、それではということでロイヤルホストに集うことにした。
その前に私の大好きなステラおばさんのクッキーの本社である株式会社アントステラを偵察に向かうが無機質なオフィスしかなく、mudaくんと顔を見合わせた。
ロイヤルホストでは、藤井隆の影響ですっかりロイホ贔屓になった私が「これ隆が好きなやつ」を連呼し、実際に隆が好きだと言っていたメニューを食べた。
まるたさんと水っぽい星さんとは実際のところSNSですらそんなに会話がなかったものの、会ってみたら同世代ということもありポケモンの話をした。
「実際自分がトレーナーだとしたら旅につれていきたいポケモン」という議題を設け、お互いに当てあった。結果的に時間がなく、自分の分は思いつかなかったけれど、いま考えた結果
チコリータ
ジュナイパー
ウーラオス(いちげきのすがた)
バイバニラ
サニゴーン
ライチュウ(アローラのすがた)
あたりが、かたいと思う。フラエッテもどうにかして連れ歩きたいところ。エアームドも結構すきなのだが、いまだに迷う。
基本的には草ポケモン、氷ポケモン、フェアリーポケモンが好きである。
その後っょさんと合流する。
っょさんには初対面にも関わらず「パーティしたい」と宣言しており、最初から最後までとりあえず酒・酒・酒。
人見知りしているばやいではないということで最初からギャルを自身に降臨させたが序盤は結構空回りしていたように思える。それでも後悔先に立たず。楽しかったから良い。食べたことがないと思っていたが、8年前くらいにもしかしたら食べたかもしれないという曖昧な記憶が蘇ってきたサムギョプサルを食べ、その後カラオケに行って倖田來未や丹yu、ガルネクなどを歌った。その他の記憶なし。その後はほぼ酒・酒・酒。
普段全く酔わないと思っている私だがその日はバチくそに酔った。というか、もう酒に酔わなかったのもコロナ禍前の話で、いまではそれほど酒に強くない気がする。
信じられないくらいふらふらの足取りでmudaくんに手をひかれて宿に帰ったがマウスピースをして寝たこと以外、ほぼ意識を失うように眠る。
次の日は人生初の大二日酔いになり、クリーンな朝は過ごせなった。
青ざめた顔でファミマの前のベンチで体調を整え、ラムネやジュースなどを注入。
当初の予定を大幅に緩和しながらも東急世田谷線に乗り換えて若林などに向かった。
しかし体調があまりにも悪過ぎて記憶があいまいである。
カフェでココアを飲むといきなり体調が回復したが、それまでは半分脱水症状だった可能性がある、でも気持ちが悪過ぎて水が飲めなかったんだね。二日酔いって大変。
東京にいくたびに思う、嘘みたいに小さい建物がみっちり並んでいることに感動する。
田舎に住んでいるとこの光景はなかなか見られない。
三軒茶屋の存在をいつもより近くに感じて、ドラマ「すいか」を思い出してみる。
その日はうどんを食べた。
東京のうどんはやっぱり合わないと思ったけれど、店員さんがとてもやさしくて嬉しい気持ちになった。
ファミマ前のベンチに座っていたときは今日はもう動かなくて良いやと思ったのだが、そんな限界すれすれで脂汗をかきながら黙り込んでいるわたしを(おそらく動ける程度を考えて)動かしてくれたmudaくんには感謝しかない。
素敵な街並みを見せてくれた。若林を歩きながら「ここに住みたい」ではなく、「次はこの街に住むのはどう?それで俺泊めてぽぴい」と言った。つくづく勝手な男である。
mudaくんはなんとかトラムなんとかのなかで、ここらへんのマンションの相場を検索してくれていた。
そして突然思い立ち、羽田に向かう前に渋谷のポケモンセンターに向かってmudaくんのパートナーポケモンを決めてもらうことにした。
渋谷のポケモンセンターには世界中からひとが集まっており、そこでもしみじみ「世界……」と感じていた。そう。田舎ではそんなことは感じられないからだ。
それから暑さにあわあわしながらもコンクリートだらけの道を彷徨い、帰路についた。
最後にmudaくんが選んだダンゴロとバイバニラの2ショットを撮り、最大級の感謝を心のなかで唱えながら(直接言ったか定かではない)満足げに帰った。
30を過ぎてようやく、上京することって意外に簡単だったのかもしれないと思う。
それでも俺はその選択肢を選べなかった。
きっとこれからも選ばないような気がしている。
だけど、またみんなと遊びたいし、今回遊べなかったひとともまたどこかで遊びたい。
これからの人生でもっともっと遊んで、話して、楽しく暮らしたいなと思う。
いまの夢。
だからこれを読んでくれている方も、読んでない方も、いつか一緒に楽しみましょう。